GMに挑戦! 第5回

初心者向け『ゲームマスター(GM)入門』 第5回


●第5回●
戦闘になったら ~隊列の組み方~


 こんにちは、はせがわみやびです。
 回を重ねて「GMに挑戦!」も早5回目。今回からしばらくはRPGの華『戦闘』についてです。いつものように、初心者GMのコボルトくんとともにお送りします。

(注)重要なことは枠の中にまとめてあります。後で読み返す時には、枠の中だけを読んでもOKです。

■戦闘のその前に

みやび:さあ、戦闘について、です。
コボルト:わあい。待ってました! TVゲームのRPGでも、さあ戦闘ってなると、ボク、盛り上がって、コントローラーを握り締めちゃいますっ。
みやび:でしょでしょ。だからフォーチュン・クエストRPGでも、戦闘場面を楽しんでほしいなって思うんです。いちばんゲームっぽいところですから。
コボルト:ゲームっぽい? 
みやび:勝ち負けがありますからね。
コボルト:パステルさんたちが負けちゃうこともあるんですかっ!?
みやび:あるんです。ゲームですから。まあ、あまり、そうはならないようにできていますけど。
コボルト:そ、それは、たたた、たいへんっ。
みやび:ああ、慌てないで、コボルトくん。GMとして、パステルたちが全滅しちゃったらどうすればいいかっていうのも、ちゃんと教えてあげるから。
コボルト:(おそるおそる)ほんと?
みやび:ほんと。まあ、それは後のほうでね。とりあえず順番に話をしていきましょう。とにかく、戦闘が始まったとします。

Q1
戦闘になったら、まずGMがするべきことって何ですか?

■キャラクターとモンスターの隊列を確認しよう

みやび:戦闘をする時に必要なルールは、『ルールブック』のP11~20に載っています。なので、まずは『ルールブック』をひととおり読んでおくとよいです。
コボルト:ゲーム中に開いているとゲームが止まっちゃいますものね。
みやび:ですね。でも、最初のうちは『ルールブック』片手に読みながらでも良いと思います。何度か遊んでいれば自然に覚えますから。
コボルト:はい。
みやび:では、戦闘が始まったらGMは何をするのか、です。まず、「どんなモンスターが何匹現れたか」をプレイヤーに伝えましょう。といっても「紅白キノコが現れた!」などと言ってしまうと、今度は怪物の正体ばれまくりで緊迫感がなくなっちゃいます。「紅白キノコ」だったら、「大きなキノコが現れた! それは体の左右で赤と白に色分けされている奇妙なキノコだ!」とだけ言って正体を隠すわけです。
コボルト:あ、それは前回の話と繋がるんですね。
みやび:はい。初登場のモンスターの正体をどうやって隠すかは、第4回の「アイテムあれぇ?これぇ? ~「モンスターポケットミニ図鑑」「盗賊の七つ道具」「へい、親方」編~」に書かれています。
コボルト:これを読めばばっちりです。
みやび:モンスターの外見は、『ワールドガイドブック』のP16~31にイラスト付きで載っています。それを見て、「キノコみたいな」とか「大きな四本足の獣だ」とか伝えると良いでしょう。あんまり詳しく言うと、せっかく隠した正体がばれちゃいますけれど。
コボルト:適度な説明ってむずかしいですー。なんか、もっといい方法はないですか?
みやび:うーん。……たとえば、モンスターのイラストをコピーして、輪郭を残して黒く塗ってしまう、という手もあります。
コボルト:シルエットにしちゃう?
みやび:そそ。で、それを見せて、「こんなのが現れた」とだけ言う。
コボルト:うわ、せこい。
みやび:創意工夫した、と言ってくださいな。まあ、「正体不明の怪物が現れた。正体は、『モンスターポケットミニ図鑑』を引くまでわからない!」でもいいと思います。話を続けますね。怪物の登場を知らせました。ここでは正体がわかるまでふつうのサイコロをテーブルに置く、という手を使ったとします。現れたモンスターの数だけサイコロをテーブルの上に置くわけです。
コボルト:(わくわく)はい。
みやび:この時重要なのは、「お互いの位置関係の確認」なのです。
コボルト:フォーチュン・クエストRPGでは、お互いの位置と言っても、「前列」と「後列」しかないんですよね?
みやび:そうです。今、キャラクター(以下、キャラ)たちがいる場所がどんなところで、どういうふうにモンスターが現れたかを伝えます。紙に絵を描いて説明してもわかりやすいでしょう。簡単なラクガキ程度でOKです。
コボルト:「ダンジョンの中の大きな部屋だ。部屋の奥から、三匹の巨大なキノコがやってきた!」、とかで良いですか?
みやび:そうそう。付け加えるならば、モンスターの三匹がどんな風に並んでいるのかっていうことと、その部屋がどれくらいの大きさかってことかな。
コボルト:並び方、って?
みやび:三匹が横一列なのか、それとも、二匹が前列で一匹が後列、とか。
コボルト:あ、隊列ですね。そうか。モンスターにも「前列」と「後列」があるんですね。
みやび:そうです。これは実際にサイコロを並べてみせれば一目瞭然です。そして、もちろん、キャラたちにも「前列」「後列」があるわけです。でも並べる時に、その場所の広さ、つまり、横にどれくらい並べるかがわからないと、サイコロを置けないでしょう?
コボルト:そうですね~。
みやび:「部屋の奥から、三匹の巨大なキノコがやってきた! キノコたちは前に二匹、後ろに一匹いる。まっすぐ向かってくるぞ(ここでふつうのサイコロを並べて見せる)。この部屋には横に三人までしか並べない。さあ、キャラクターサイコロ(以下、キャラサイコロ)を並べて!」とか。
コボルト:うわ。セリフが多くて大変そう。
みやび:一度に全部伝えようとせず、ひとつひとつ確認して、ゆっくり伝えていけばOKです。重要なのは「モンスター側の隊列」と「キャラたちは何人並べるか」です。
コボルト:ゆ~つ~く~り、で~す~ね~。
みやび:しゃべるのはふつうでいいんだってば。実はここは、もうちょっと簡単になります。
コボルト:と、いうと?
みやび:キャラサイコロを戦闘の前に並べておいてもらうんです。「今、君たちはどんなふうにダンジョンを歩いているのかな? サイコロを並べておいてね。変更しますと言い出さない限り、ダンジョンでは、今並べた順番で歩いていることにするからね」と言っておくわけ。
コボルト:そうか。それで、そのまま戦闘になれば──。
みやび:あとは「モンスターがどんなふうに現れたか」だけを言えばいいわけです。

★戦闘になったら、キャラたちがいる場所とモンスターの隊列を伝えよう。

 重要なのは──
 「モンスター側の隊列」
 「キャラたちは横に何人並べるか」

※戦闘前からキャラサイコロを並べておくと便利。


みやび:そうそう。ひとつ忘れちゃいけないことが。
コボルト:なんですか?
みやび:キャラサイコロを最初に並べてもらう時には健康状態を確認しておきましょう。いちばん最初は「元気」なはずですが、これを忘れてうっかり「重傷」の状態で最初にテーブルに並べてしまうことがあります。
コボルト:そ、それはタイヘンですね。
みやび:一度でも戦闘してからは健康状態に気を使うものなんですけど、初めての時は気にせず並べちゃいがちですからね。そのままだと、あっという間に気絶しちゃいます。GMは注意してあげましょう。
コボルト:はい。

Q2
隊列の組み方をプレイヤーに聞かれたら、どうアドバイスしたらいいでしょうか?

■前列は〈防御力〉の高いキャラを!

みやび:これは、ダンジョンを警戒しながら歩いている時に戦闘になったのか、それとも他の何かをしている時にいきなり戦闘になったのかで変わります。
コボルト:他の何かをしている時、って?
みやび:たとえば、猪鹿亭で食事をしていたら、いきなりゴブリンが殴りこんできた! ……とか。
コボルト:わわっ。か、隠れなきゃ!
みやび:こらこら。冒険者が隠れちゃいけません。
コボルト:で、でも、今の今まで食事をしていたのに、いきなり戦闘なんて、何の用意も……あ。
みやび:はい、わかりましたね?
コボルト:隊列が組めない。
みやび:そうです。隊列を組みようがありませんよね? このような場合、戦闘開始の時の「隊列の確認」は、実際には「その時、誰がどこにいたかの確認」になります。そして、ゴブリンにもっとも近かったキャラが「前列」として扱われることになります。この場合は、いちばん扉に近かった人が「前列」ですね。
コボルト:それがルーミィさんでも?
みやび:それがルーミィでも、です。その状態から始めて、戦闘の最中に隊列を変更していくしかありません。
コボルト:きびしい~。
みやび:不意打ちというのはそーいうものです。もちろん、現れたモンスターが近寄ってくるまでに、いくらか時間の余裕があるのでしたら、慌てて隊列を組んでも構いません。まあ、不意打ちの話はまた後にしましょう。
コボルト:わかりました。
みやび:では、ダンジョンなどを歩いている時、つまり戦闘の準備をしながら歩いている時に、どんな隊列を組んでいたらいいかについて説明しましょう。
コボルト:強い人が前、と聞いたことがありますケド。
みやび:そうですね。「強い人」というよりも「頑丈な人」と言うべきかも。〈防御力〉の高い人が、モンスターの前に立って敵の攻撃を受け止めます。
コボルト:〈防御力〉の高い人っていうと……。
みやび:クレイとノルかな。ふたりがモンスターの攻撃を受け止めてくれないと、キットンが「モンスターポケットミニ図鑑」を引く前に気絶しちゃったり、ルーミィが魔法を唱える前に気絶しちゃう可能性もあるから。そうなると、あっという間に大ピンチです。
コボルト:じゃあ、クレイとノルが「前列」になるといいってことですか?
みやび:そうですね。あと、敵の攻撃を避けるのがうまい人も「前列」に立つことができます。どんな攻撃も「当たらなければ怖くない」ってわけですね。
コボルト:あ、トラップさんとか?
みやび:そうですね。トラップの〈回避〉は、健康状態が同じならばパーティの中で他のキャラよりも少しだけ高くなるようになっています。でも、ひらりひらりと相手の攻撃を全部かわす、というほどは高くないのですけど。
コボルト:あらら。
みやび:だからそれは、いざという時だけかな。クレイとノルが「前列」で、残りが「後列」というのが、いちばんお勧めでしょう。クレイとノルのどちらかが負傷してしまったりしたら、その時いちばん〈回避〉の高い人が一時的に「前列」に出る、というのはアリだと思います。覚えておくといいかも。
コボルト:その時いちばん高いって、どういう意味ですか?
みやび:フォーチュン・クエストRPGでは、〈回避〉の値は健康状態によって変わりますから、トラップが傷ついていたら〈回避〉が低くなっているかもしれない。
コボルト:あ、そうか。
みやび:ただ、ちょっと傷ついただけなんていう時は、やっぱり〈防御力〉の高いクレイとノルが前で頑張っていたほうが安全ですけど。
コボルト:じゃあ、クレイさんとノルさんが「前列」で、残りが「後列」でダンジョンを歩けばいいんですね?
みやび:そういうことですね。まとめてみましょう。

★戦闘やダンジョンを歩く時のお勧めの隊列

〈防御力〉の高いクレイとノルが「前列」、他のキャラが「後列」。

(広い部屋で戦う場合)
 前列:(ノル)(クレイ)
 後列:(キットン)(ルーミィ)(パステル)(トラップ)

(細い道でふたりまでしか並べない場合)
 前列:(ノル)(クレイ)
 後列:(キットン)(ルーミィ)
     (パステル)(トラップ)


みやび:最初のうちはこれでよいと思います。本当は、上に書いた隊列だと、後ろから不意打ちされると弱いんですけどね。
コボルト:あ。そうか。後ろからモンスターが来たら、上の(細い道でふたりまでしか並べない場合)の隊列だと、パステルさんとトラップさんが「前列」になっちゃう!
みやび:そそ。ですから、GMはプレイヤーたちが戦闘に慣れていない頃は、あまり後ろから不意打ちなどはしないようにしましょう。そして「防御力が高い人が前列で、残りが後列だといいと思うよ」と簡単に言っておいたほうがいいです。細かいことを言うと、混乱しちゃいますし。
コボルト:すでにボクの頭はいっぱいです~。
みやび:もうちょっとだから、がんばって! で、プレイヤーが慣れてきたら、後ろから弱いモンスターを登場させて、不意打ちで、焦らせてあげましょう。
コボルト:わわ、いじわるだぁ。
みやび:いやいや、これも冒険者への試練なのです。
コボルト:じゃあ、不意打ちまで警戒して考えた隊列って、どうなるんですか?
みやび:ええと。では、既刊の『新フォーチュン・クエスト リプレイ』(電撃文庫刊)の時によく組まれていた隊列を紹介しましょう。以下のような隊列で進むことが多かったですね。これは、狭いダンジョンを歩く時の隊列です。参考にしてくださいね。

★狭いダンジョンを歩く時のお勧めの隊列

(細い道でふたりまでしか並べない場合)
 前列:(トラップ)(クレイ)
 後列:(キットン)(ルーミィ)
     (パステル)(ノル)

(上の隊列で、後ろからモンスターに不意打ちされた場合)
 前列:(パステル)(ノル)
 後列:(キットン)(ルーミィ)
     (トラップ)(クレイ)


コボルト:あれ? トラップさんが「前列」なんですか?
みやび:ダンジョンだと、罠があるかもしれないでしょ? だから、トラップが先行して罠を調べつつ、ちょっとずつ進むんです。
コボルト:でもでも、戦闘になったら、やられちゃう。
みやび:だから次の角を曲がったら戦闘になりそうっていう時は、あらかじめトラップとノルが入れ替わっておくわけ。もし、それができずに戦闘になったら、すぐにトラップは〈移動〉で「後列」に下がるわけです。代わりにノルが〈移動〉で「前列」に行くわけですね。
コボルト:それだと、最初の1回はふたりとも攻撃ができないけど……。
みやび:それでも罠にかかったり、後ろから不意打ちされてやられるよりマシっていう判断なんですね。『新フォーチュン・クエスト リプレイ』のプレイヤーは慎重派な人が多いのです。
コボルト:あれでも慎重だったんですかっ。
みやび:それはどーいう意味かな?
コボルト:あわわ。なんでもないです。
みやび:この隊列で後ろから不意打ちされた時は、クレイが〈移動〉で「前列」に上がります(※モンスターと接しているほうが「前列」です)。代わりにパステルが〈移動〉で「後列」に下がります。
コボルト:えーとえーと。はい。なんとかわかります。
みやび:ちなみに、ノルが「後列」でクレイが「前列」の理由は、巨人のノルが前に立つと前が見えないだろうっていう配慮ですが、ゲームとしてはどちらが前でも構いません。
コボルト:えっと、パステルさんが後ろでキットンさんが真ん中なのは何でですか?
みやび:理由はふたつあります。ひとつは意外とパステルは〈防御力〉が高いっていうこと。もうひとつは、もし後ろから不意打ちされてキットンが一撃で倒れたら──モンスターの弱点を調べられなくなります!
コボルト:ああ! なるほど。
みやび:でも、時と場合とキャラの状態によって、ベストな隊列というのは変わりますから、これはあくまで参考だと思ってくださいね。自分たちのパーティはこうする、といろいろ試してみるのも楽しいと思います。
コボルト:はい。
みやび:戦闘関係は、いろいろとGMもやることが多いので大変です。というわけで、今回の「戦闘になったら」は、もうしばらく続きます!
コボルト:第6回もよろしく~。
みやび:よろしくですっ。

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